天気「蒸し暑い天気は良いが引きこもり」
今日は、これまでの祖母とのかかわりの中で抜け落ちた真実を一つ。
これは20才になった頃のちょうどデパート勤務をしていた頃です。私は靴売り場にいて、隣りの写真屋さんへ毎日来ていた本店の方とお付き合いをしていました。まだ家出前のお話です。私は仕事は半年しか続かなかったのですが、その後は、彼が仕事であちこち回っていた車に乗せてもらってドライブしたり、他所の支店へ勤務の日はそちらまで押し掛けたりして。何せ、暇だったものですから(苦笑)。
彼は美大出身だったのですが、カメラ屋さんにいるのはもったいないと、その技術を生かした仕事についたらどうかとつついたら、本当にカメラ屋さんを辞めて着物の反物の絵を描く所に就職しました。
彼とは真剣に結婚を考えていました。まだウブでしたからね、恋愛=結婚と。デートした日はいつも家の近所まで送ってくれて。彼の家は駅前で小さな飲み屋をしていました。そこで母1人子1人の家庭で彼は育ちました。いとこだけが彼の親友だったそうです。
ある日のこと、真面目な彼は、私には内緒で私の母に会いに行ったそうです。「結婚を前提にお付き合いをしたい」と。でも、母はT氏と一緒に鼻で笑って「私生児と?とんでもない」と言って追い返されたそうです。で、お母さんと相談したのか、ある日突然「結婚は止めて親友になろう」と言われました。男女の仲で親友とか友達とか、そういうのは出来るもんじゃないと、考え直して欲しいと言ったのですが、彼の意思を変える事は出来ませんでした。
一方、彼の自宅の電話番号を知っていた祖母はそんな事とはつゆ知らず、夜遊びでなかなかつかまらない私を、早く帰る様言って聞かせて欲しいと頼んでいたらしく?何回か、行きつけのジャズ喫茶から定期的に彼へ電話をした覚えがあります。その後、家出したのをきっかけに電話をするのは止めました。そしてデパート内のカメラ屋さんに伝言をたくして、後日、彼と喫茶店で会いました。「おばあちゃんが心配しているから帰ろう」と言われましたが、私は私を振った彼のプライドを傷付ける為に、わざと「ここは私が今一緒に住んでいる人が働いているお店」と、カウンターの中に居る新しい彼を紹介しました。そのとたん、彼の落ち着き払った姿が一変して、顔つきも顔色も変わり椅子を蹴って店から出て行ってしまいました。それっきり。今は名前も思い出せません。