天気「変わるのは女心と冬の空」
何て書き始めたら良いのだろう。月曜日、抽選で当ったコンサートへ行って来た。彼は仕事から帰ってから大急ぎでシャワーを浴びて、着替えて私を連れていってくれた。マーラーの曲が終り、彼の大好きなモーツァルトのクラリネット五重奏曲の間中、可哀相に彼は居眠りをしていた。そしてあのブラームスがクララ・シューマンの為に書いた煩いピアノ五重奏が終る頃にはホッとしたに違い無い。でも暗に反して、アンコール曲が始まり2時間も椅子に座るはめになって舌打ちしていた事だろう。だけど私の為にと辛抱していた。それが結果的に、家へ帰って遅い晩ご飯を食べ終った頃に、爆発してしまった。私には彼の訴える事がよく理解出来なかった。ただコンサートのせいで少しハイになっていたけれど、それでお喋りだったのは自分でも判るけれど、何故彼が怒っているのかが解らなかった。2時間の口論の大半は、言葉の揚げ足取りに終った。翌日、彼は現場を途中で抜け出し、子供の三者面談の為に大急ぎで服を着替え、学校へと出掛けた。それは、病気になる前の私の仕事だった。でも今の私は、まだ一人で外へ出る事も他人と話す事も出来ないので、子供の受験校を決める為には彼しか行ける人間はいなかった。1時間半後に帰ってから、今度は私の障害年金の申請書を取りに、大急ぎで市役所へ行ってから会社へ戻った。この時点で彼はヘトヘトだったのに、誰も感謝もしなければ同情もしなかった。そして昨夜、彼は私に頼まれたスーパーへの買い物に付き合って…、夜寝る頃になってとうとう堪忍袋の緒が切れたのだ。1時間の口論は、私のせいで何が何だか解らなくなるほど話が飛んで、彼はとうとう自分のお気に入りサイトやポストメールのアカウントをパソコンから全て消してしまった。その時初めて私は、ただ反射的に反論するのではなく、彼の気持ちをゆっくりと聞く気になった。もともと言葉数が少ない彼に、「それで?」とか「どうして?」とか合いの手を入れながら、静かにゆっくりと聞いてみた。すると不思議な事に、ホンの少しだけれど彼が私をどう見ていたかが解った。鬱で寝込んでいる時は、自分が代わりに家事をするのは仕方が無い。けれど、少し元気になって起きてくると、家事をしなくても良くなる代わりに偉そうに指図するらしいのだ。そしていつも監視されている様な気がするらしい。そう言われれば、今の私の視野は非常に狭く、受験生の子供にこれ以上ストレスを与えない為に、故意に夫にだけ注目していた気がする。病気になる前の私は、家事や子供の教育の事、それに実家との付き合いや祖母と姑とのお相手など、忙しさから夫にかまった時間はほとんど無いに等しかった。これは昨夜、夫の話を聞いて思い出した事だ。そう言われればそうだったと。でも人にかまわれるのが大嫌いな夫にとっては、非常に今より楽しかったらしい。真面目に仕事さえ行っていれば、後は自由にパソコンしたり出来たのだ。何の文句も言われずに。ところが、今の私は自己コントロールが効かないので、感情の向くまま夫に文句をぶつけてかまっていたらしい。そこんところは、本を読んで頭では解るのだが、どうも今一つ実感がわかない。が、真実はその通りだろうと思う。私はオヤジギャルならず、オヤジオバンをしていたのだ。鬱の時の苦しさは私にしか解らない。でも軽躁の時の家族の苦しみや辛さは、家族にしか解らないのだろう。本人は調子が良いと思い込んでいるのだから。だけど…、これからは少しずつコントロール出来る様、努力してみるつもりです。最後に夫から聞いた言葉を信じて…。「役所でも障害と認める様な病気になったお前を、俺が実家に追い返す様な人間に見えるか? もしそんな事をしたら、俺が許せない。」。・゚゚・(>_<)・゚゚・。