天気 「どっちかな 雨か曇りか はっきりと」
パパがとうとう切れてしまいました。母が亡くなってから私があんまり良かった時代の話ばかり言い続けるから「あんなに会いたくないって言ってたのに死んだら途端に母親の事ばかり話す。俺が思ってたとおりや。絶対後悔するとな」って。そして、テンションが高い、頓服のレボトミンを飲めとね。ゴックン。
それは違います。母だって私達が子供の頃から悪だったわけじゃない。ある男から目を付けられて付き合う様になってから人間が変わってしまったのです。1度身に付いたシミはもう戻らない。母は死ぬまで自分の思い通りにするにはどうしたら良いか、そればかりを考えている人間になったのです。言われる通り私達が動いたとするとどうなるか、良い商売があるからとパパが借金を背負って会社を作り商売を手伝う。でも世の中そうは甘くなくて商売は失敗し、母は自分だけ逃げてパパは借金取りに追われてお終いとね。
前に私の名前と住所を知っているだけで、銀行に勝手に私の口座を作ってネズミ講をやろうとしていた事がありましたから、住所も簡単に教えられないのです。必要ならばハンコなんてすぐに作れますしね。
でも、死んでしまった今ならもうそんな心配をする必要は無くなったわけで、それで安心したら子供の頃の懐かしい母を思い出したのです。生きているうちに会わなくて後悔しているわけではないのです。亡くなってようやく安心する事が出来たのです。パパの耳には言い訳に聞こえるかもしれませんが、私はこれで良かったのだと思っています。
後、母親が亡くなったというのに一滴も涙を流さないというのがパパには引っ掛かるみたいです。父が亡くなった時も、実家の祖母が亡くなった時も泣いていたのに、今回は全く泣かないのでこの後どうなるのかが気掛かりだそうです。私にもわかりません。いったいどうなるのでしょうか。